加熱式タバコの先駆者であるフィリップ・モリス。
アイコスを開発したのにはもちろん相応の理由があります。
タバコ業界の生き残りをかけた、ある意味賭でもあるフィリップモリスの英断と今後の展開を予想しますよ。
目次
時代を先読みしたフィリップモリス
煙を吸わない「低リスク製品」アイコスの開発が始まったのが2002年頃。
今から15年も前に動き出していたことになります。
フィリップモリスの最高経営責任者アンドレ・カランザポラスは「近いうちこういう時代がくるのはわかっていた」と述べていますが、現在のアイコスに至るまでには試行錯誤の連続だったようですね。
電源を入れて加熱、吸い終わったら吸い殻を捨てるという行為は、「タバコを吸う行動として必要なもの」と考え、あえて採用したと言われています。
私も何度か記事に書いていますが、確かにこの行動がタバコを吸った時の満足感に繋がっているように感じますね。
プルームテックが物足りなく感じるのは、軽いだけではなく「吸った」という吸い終わりの目処がないからかも知れません。
日本では15年前の喫煙状況はどうでしたでしょうか。
まだそれほど喫煙者が肩身の狭い思いをしたり厳しく分煙化してはいなかったように記憶しています。
日本で禁煙外来が出始めたのが1990年後半くらいですね。
その時は精神的アドバイスやニコチンガム・ニコチンパッチなどでの処方が一般的で、患者もごく少数な上費用は全額負担でした。
2006年4月1日から一定の条件を満たせば保険適用が認められ、少しずつ禁煙が浸透し、2010年のタバコの大幅値上げと共に一気に禁煙外来患者数が急増しています。
フィリップモリスは今までのタバコでも新たな国を開拓していけば先進国の需要が減った分は補えたはずです。
しかし今後さらに通常のタバコの需要は減ると考え、多額の予算をかけて新ジャンルを開拓しました。
アイコスは先見の目と長年の努力により、ヒットするべくしてヒットした製品といえると思います。
アイコスが日本で先行販売された理由
180国以上で事業展開しているフィリップモリスが最初に日本を選んだのは、「日本の愛煙家は周囲に配慮する気持ちが強い」からだそうです。
さらに広告などの規制も緩く、ニコチンリキッドが法的に認められていない日本は、確かにアイコス向きの市場だといえますよね。
アイコスは世界10カ国以上で販売されていますが、その98%は日本での売上になります。
これには理由があり、欧州ではニコチン入りリキッドが主流だからです。
海外では今さらタバコ葉を加熱して吸うということには興味ないんでしょうね。
手間もあるし吸い殻も出ます。何よりお金がかかります。
アイコスはニコチン入りリキッドが認められていない国、意識レベルの高い国をターゲットにした製品だと言えると思います。
それが証拠に、現在さらなる製品も開発中みたいですよ。
フィリップモリスのプラットフォーム
フィリップモリスではプラットフォームが1〜4まであります。
プラットフォームというのはいわゆる基盤や土台のことになります。
プラットフォーム1:アイコス
プラットフォーム1は直接たばこ葉を加熱する製品、すなわちアイコスです。
上記でも書いたように主にニコチン入りリキッドが認められていない国に向けた製品になりますね。
日本では爆発的に売れていますが、海外のニコチンリキッドが認められている先進国ではほとんど売れていません。
しかし日本での売上に手応えを感じて、今後ニコチン入りリキッドやVAPEが浸透していない国へのマーケティングが予想されます。
いきなり電子タバコ(VAPE)への移行より加熱式タバコの方が抵抗は少ないですよね。
それはすでに日本で実証されていますし。
今後はiQOS(アイコス)ブランドとして大規模な販売が展開されると思います。
プラットフォーム2:炭素熱源
プラットフォーム2は火の代わりにタバコの先端に付けた発熱素材で加熱します。
発熱素材の熱源は「炭素」を使用し、従来のタバコに近い感覚で吸うことが出来るようです。
これならニコチン入りリキッドが禁止されている日本でも認められそうですね。
試験的な販売は2017年前半となっていますが、日本で販売されるかは不明です。
プラットフォーム3:有機酸とニコチンの化学反応
プラットフォーム3はタバコ葉を使わずに有機酸とニコチンを化学反応させて吸引します。
このあたりはもうよくわからない世界ですが、現段階でフィリップモリスが開発しているのなら従来のタバコよりは当然害が少ないのでしょうね。
しかしニコチン入りリキッドではないものの、タバコ葉を使用せずニコチンを摂取するとなると日本では規制がかかりそうです。
これも2017年前半にどこかの国で試験販売が予定されているそうですよ。
プラットフォーム4:ニコチン入りリキッド
プラットフォーム4はニコチン入りリキッドを加熱して吸引します。
これは欧米で主流の従来のVAPEと同じだと思います。
なにぶん情報が少ないのでこれ以上はわかりませんが、いずぜれにしても日本での販売は認められないですね。
各国の規制に対応して展開
「1つの商品ですべての回答になるとは思っていない」とカランザポラス氏が言うように、今後その国の規制に合わせて開発した製品が販売されていくことになるかと思います。
フィリップモリスは「今後従来のタバコの販売はしなくなる可能性もある」と言っているように、規制強化や健康志向の高まりで加熱式タバコや電子タバコにスイッチせざるを得ない現状です。
これはフィリップモリスに限らず、タバコ業界全体にいえることなんですけどね。
しかし、日本のアイコスのように他の国でも先駆けてその分野を独占できたら、吸うタバコは必然的にすべてフィリップモリスになります。
先駆けは大変なことですが、茨の道を抜けたら黄金郷かも知れませんね。
まとめ:今後のJTに期待
我々としては、今後さらなる製品が出てくるのを期待したいですね。
やはり一番の期待はJTだと思います。
フィリップモリス、BATはすでに加熱式タバコを開発・販売していますので、近い将来に新製品は出ないでしょう。
(プラットフォーム2は気になりますが)
JTのプルームテックはたばこカプセルがなければただの古いVAPEです。
日本の技術で本当の加熱式タバコを開発して欲しいですね。